2011年2月22日 火曜日

CASS(キャス)試験は塩水噴霧試験の一種ですが、塩化ナトリウム溶液に、鉄より貴な金属である銅を添加することでイオン化傾向を高め、さらに試験機槽内の温度を50℃とする非常に厳しい促進試験です。(前回紹介した中性塩水噴霧試験の約10倍の促進効果があるといわれています。)


プロトニクスシステムタフテクトは、旧来からある技術と最新の技術を融合させた技術です。


この多層皮膜構造によって


1.高耐食性皮膜の多層化による耐食効果。


2.多層皮膜間の犠牲防食アノード性による耐食効果


という2つの相乗効果が、耐食性を飛躍的に向上させるのではないか?という仮説をたてました。その結果、中性塩水噴霧試験は良好な結果を得ました。そしてさらに細部にわたる改良と評価試験を繰り返した結果、皮膜構造の異なる2種類の皮膜に絞り込みました。


今回は、最終選考評価試験として、この2種類のCASS試験の結果を報告します。


 

・試験規格:JIS Z2371,JIS H8502 等


・試験方法:50℃に設定した試験槽に、5%食塩水と0.027%塩化第二銅(二水和物)の混合液を噴霧する。


・試験時間:96時間


・試験材料:A2024BD


・試験皮膜:タイプE、タイプF


 

CASS試験96時間後の表面状態

 
  タイプE(評価4) タイプF(評価5)
 

 


【CASS試験96時間における腐食評価基準】

 
 

評価

評価基準(CASS試験96時間)

白錆発生無し

白錆発生面積 10%以下

白錆発生面積 30%以下

白錆発生面積 50%以下

白錆発生面積 70%以下、皮膜割れ有り

 

 


・結論

実証の結果、両タイプとも


1、表面の変色は見られるが、腐食による皮膜の欠落がない。


2、微細ではあるが、発生していた孔食部分がすべて材料素地まで到達しておらず、下層皮膜でとどまっている。


という結果に至り、仮説の立証が成されました。


このCASS試験の結果は、共に社内基準をクリアするもので、実用化するにあたって申し分のない結果でしたが、生産安定性、量産性、コストなども考慮したうえで、タイプFをプロトニクスシステムタフテクトとして採用することになりました。


次回は、プロトニクスシステムタフテクトと、カドミウムめっき皮膜の比較試験結果を報告させていただく予定です。

2011年2月17日 木曜日



日常生活で大変便利で有効な道具に、携帯電話とパソコンがあります。


もし、この二つが無くなったら通常通りに仕事や生活ができますか?


昭和30年代生まれの私達なら、何とかこなせるでしょう。かなり不便ですが・・・。


だって、学生時代には公衆電話とレポート片手に頑張ってましたから(笑)


しかし、生まれたときから携帯電話やパソコンに囲まれて育った年代の人たちには「苦痛」以外の何者でもないでしょう。


ひょっとすると仕事や生活が止まってしまうかもしれません。


大切なことは「便利な道具に左右されない」「コンピューターに頼りきらない」姿勢が必要だと思います。


ヘタすると人間としての大切なモラルまで麻痺してしまうこともあるかもしれません。


そう言う私も、待ち合わせに「遅れそうなときは携帯に電話します」って軽率に言ってるなあ。


「待ち合わせ時間は絶対!」という昔のモラルが自分の中で消えていたことに最近気づかされました。


 

2011年2月16日 水曜日

 


先日より紹介させて頂いております「プロトニクスシステム タフテクト」について、技術責任者の立場からコメントさせていただきます。


耐食性皮膜と呼ばれるものには過去、“腐食のメカニズム”を熟知した先人達が築いてこられた、最もベーシックな基礎技術の上に成り立っております。


亜鉛めっき、ずずめっき、クロムめっき、カドミウムめっき等がその代表的な例で、さらに下地めっきにも異種金属の積層、同種金属でありながら結晶組織の異なる皮膜の積層、等数々の手法が用いられておりました。


古き良き時代の装飾品などで、未だに経年劣化していない素晴らしい耐食性を誇る歴史的調度品も多数存在しているのがその証明でもあると考えます。


弊社においても、要求される特性に応じた最新技術をラインナップし、貢献させて頂いておりますが、先人達の経験、知恵、工夫から生み出された技術基盤を基に改良、試行錯誤を重ねてきた結果、今日があります。


同時に基盤となる技術が無ければこの世に存在しなかったであろうと考えさせられるのが、この「プロトニクスシステム タフテクト」の開発を通じて思うところです。


実はこの「プロトニクスシステム タフテクト」は先人達の築き上げた「古き良き基礎技術」と、その基礎技術に改良に改良を重ねた結果生み出された「全く新しい最新技術」とを融合させた、『二層構造』から成り立つ、まさに『温故知新』の発想から生まれた技術です。


基礎技術だけでは到底太刀打ちできなかった例や、最新技術だけでは対応できなかった例等をすべて加味して、お互いの欠点を補うだけではなく、それ以上の相乗効果を発揮できる技術として期待しています。


「気の遠くなるような」組み合わせから「仮説」を建て、延々と解析・分析・評価を繰り返し「実証」して、ようやく現在に至っております。


研究メンバーからは、「今のところ全て順調」という報告を受けています。


「製造」に移る前準備に心躍る思いの毎日です。