2011年3月16日 水曜日



弊社で週1回行っている「新人技術研修会」に、必ず私も参加するようにしています。


弊社の将来を担う新人達の成長度合いを楽しみにしながら参加しているのですが、ここ最近、大変頼もしい光景を目にすることが多く、心強く感じている次第です。


弊社の平均年齢は26,5歳、新人研修会に対象となる社員の平均年齢は22歳です。


その中で、まず目に引くのは、「復習の為」を目的とした中間社員が自主的に全員参加していること、またそれに刺激を受けたベテラン社員も、それを見守るべく参加していること、


また、「私達も技術を覚えたい!」と事務所の女子社員も自主的に全員参加していること、結果、毎週時間になるとほぼ全社員が参加して研修会が行われていることです。


そして何よりも心強く思うのは、「研修中の講師に対する質問」がやけに多いことです。


その質問の内容も、核心をついた鋭い質問が多く、時には講師を慌てさせるようなこともしばしば。


この質疑応答の光景を見て、「本気で知りたい!」と思う新人と「一生懸命育てたい」という講師の思い、そしてこの地道な活動がいつまでも続けることが出来るよう全身全霊を込めてサポートするのが私の大きな責任であると感じています。


「技術立国」として台頭した日本も、半導体、液晶パネルではお隣の韓国に抜かれ、電子部品では台湾に肩を並べられるようになってきました。


ある評論家の方が、「我が国の政府も、韓国に習って製造業を優遇し、開発力と生産力を高める必要がある!」とおっしゃっていました。確かに一理あるとは思います。


しかし、我々中小企業は、いつまでも国に頼るのではなく、自らの道は自らで切り開くんだ!という強い覚悟と信念を持って行動に換えていくべき!と思っています。


 

2011年3月10日 木曜日



私がこの業界に入って真っ先に感じたのは、「職人的な勘や経験でほとんどの技術が成り立っていること」でした。


当時若かった私は、しゃかりきになって「現象を理論で突き詰めよう!」と一生懸命理論武装しようとしていたのを思い出します。


今となっては、理論武装も大切なことなのですが、「勘」や「経験」との絶妙なバランスが必要であると思っています。


当時、そんな私を見た父がよくこう言う事を私に言いました。


「すずめは航空力学を知らないけど上手に空を飛ぶ。流体力学を知らない蛙も水陸両用、人間より優れてる。もしすずめや蛙が勉強しだしたら、とんでもない生き物になる。」と。


その教えの意味は「まず恐れずに飛んでみること、泳いでみること。飛んでみて泳いでみて、いろんな問題にぶつかったときに真剣に勉強して極めること」だと思っています。


遅らばせながら、50を過ぎた2年前、何十年ぶりかの受験勉強の結果、現在大学院に通っています。


「とんでもない生き物」には程遠いですが、この数十年、自分のやってきた技術の基礎をしっかり学術的に解明し後世に残していく為に論文にまとめようと悪戦苦闘する毎日です。


(先日、家内と行った美術館で、恐る恐る学生証を提示してみたら、快く「学割扱い」にして頂けました!家内が1500円、私が1150円、何となく優越感を感じる一日でした)


 

2011年3月8日 火曜日

 


カドミウムめっきは、他の金属皮膜と異なり、酸素と反応して皮膜を形成するという性質があることから酸化(腐食)に強く、同時に亜鉛と同様の犠牲防食アノード性によって、他に類を見ない耐食性を持った皮膜です。この性能によって、古くから自動車、船舶、航空機などの特に腐食しやすい部品に欠かせないものでした。                               しかし近年、カドミウムの有毒性は環境規制の対象となり、一部の限定された用途に限られてきました。さらに、最近では全廃の動きもあり、カドミウムめっきの代替として、他の皮膜が使用されるようになりましたが、特に耐食性が必要とされる船舶、航空宇宙産業、軍需産業などの一部の部品においては、それらの皮膜では要求を満たせないため、やむを得ず現在もカドミウムめっきが使用されています。                                           以上の経緯から、「カドミウムめっきの性能を上回る皮膜」の開発を目標に、弊社の研究開発が始まりました。


今回、「プロトニクスシステム タフテクト」の耐食性を評価する最終試験として、カドミウムめっきとの耐食性能比較試験を行いましたので、その結果を報告いたします。


 


 
・試験規格: JIS Z2371、JIS H8502 等


・試験方法:50℃に設定した試験槽に5%食塩水と0.027%塩化第二銅(二水和物)の混合液を噴霧する。


・試験材料:A2024BD


・試験皮膜:プロトニクスシステム タフテクト、カドミウムめっき


・試験時間:96時間


※試験後に純水にて洗浄済み



   プロトニクスシステム            カドミウムめっき            


         タフテクト



  プロトニクスシステム                  カドミウムめっき               


           タフテクト



   

     プロトニクスシステム           カドミウムめっき   


           タフテクト                

 



結果

 

・社内評価基準(※)において、 プロトニクスシステム タフテクト   評価 5


                       カドミウムめっき          評価 3


   ※表1参照


・カドミウムめっきにおいて、皮膜の割れは発生しませんでしたが、ピットコロージョン(点食)が数か所発生し、材料素地への腐食が確認されました。


 

結論

 

本評価試験において、カドミウムめっきとの比較で、「プロトニクスシステム タフテクト」が耐食性に優れている結果となりました。これは、耐食性に優れた皮膜が多層構造になっている事と、皮膜間での犠牲防食アノード性による相乗効果が、これまでにない高耐食性を実現したことによるものです。また、「プロトニクスシステム タフテクト」は環境規制に該当する有毒な金属を含んでおらず、環境規制に適合した皮膜です。


このように、「プロトニクスシステム タフテクト」は耐食性、環境適合性において、カドミウムめっきの代替皮膜として充分な性能を持つにいたりました。様々な環境下での実機試験の課題もありますが、お客様のニーズを追究し、さらなる性能向上に努めていきたいと考えております。