2011年2月24日 木曜日
温故知新 その7



先日、家内と神戸市中央区にある神戸海岸ビルに立ち寄りました。


表玄関上には「海岸ビルチ“ング」というなんとも風情のある看板が。


中に入ってみると、吹き抜けの合間に6本の立派な御影石の柱が並び、荘厳な雰囲気をかもし出しています。


後に色々調べてみると、1918年に旧三井物産神戸支店として河合活蔵設計の元竣工されたビルだそうです。


大阪市内にも、戦前に建てられたビルが今現在も大切に維持管理されており、休日になると大勢の方が「旧ビル探索ツアー」に列を連ねられている姿を目にします。


近年、最高の建築技術を駆使して建てられたビルやホテルも軒を並べていますが、私は中に入った瞬間の空気感に何か違和感を感じます。


「無色透明無味無臭」と言いますか・・・。


先日立ち寄った海岸ビル、立ち入った瞬間の空気に淡い朱色や、心地よいブルーを感じました。


100年近い年月を重ねる間に、作り手の思いや、訪れた人々の情感がそういう色をかもし出しているのかもしれません。


今を生きる我々に課せられた使命として、「世にない、人にとって有効な新しい技術やシステムを生み出していくこと」と平行して、「偉大な先人達が残してくれた素晴らしい遺産を後世に伝えていくこと」、この両輪を回していくことを決して忘れてはなりません。