2012年7月24日 火曜日
温故知新 その33

野田首相を議長とする国家戦略会議の中で「40歳定年制度」案が検討されているという。


その主旨は「ひとつの会社に長期間留まることによって企業の新陳代謝を阻害し、企業の競争力が低下する」とある。


具体的なビジョンも提示することなく、理想的空想論ばかりが先走っているように思えてならない。


最近、娘が町に停めていた自転車を撤去されて、辺鄙な施設に引き取りに行くハメになった。そこにはおびただしい数の自転車が保管されていて、その数は数万台に及ぶと言う。


担当者の方に聞いてみると「引取りに来られるのは2割程度ですねえ・・・。これ以上撤去が増えると置く場所の確保だけでもたいへんです。」とおっしゃていた。


期間が過ぎた自転車は、莫大なコストを掛けて東南アジアへ送られると言う。


最近の大阪市内は、バイクを数分停めるだけでも駐車禁止のステッカーが貼られる。


車もさることながら、バイクの駐車場に至っては、皆目見当たらない。


そのことも影響してか、オートバイの売り上げが激減しているらしい。


「放置自転車をなくして街の美観を整えましょう」「バイクや車の違法駐車をなくして渋滞の無い街を作りましょう」


確かにこれらは誰もが賛同する理想論だ。


しかし具体的ビジョンと計画、すなわちまずは自転車置き場の確保やパーキングスペースの確保を行う前に、力づくで全てを撤去しようとする、構想性の無さに呆れてしまう。


数年前にTVで、政治家のお偉い先生が「週休4日制」を提案されていた。


内容を聞いてみると「働きずくめの人が週休4日になると、最初は時間をもてあます。しかし、数ヶ月もすると、セカンドカーが欲しいなあとか別荘を買って余生を楽しもうという気持ちが芽生えてくる。そうすると国内需要が活性化される。」と真顔でおっしゃていた。


壊れた電卓で計算した答えならそれで良いが、きちんとした電卓ではじいてみたら、答えは一目瞭然のはずなのだが・・・。


いよいよこの国はどこを目指して、何を成し得たいのか?という明確なビジョンと構想を企てる知恵と工夫が底を付いてきたように思う。


これはひとえに、戦後の焼け野原から復興に命を掛けてこられた世代の偉人が一線を退いたことによる歪ではなかろうか?