カドミウムめっきは、他の金属皮膜と異なり、酸素と反応して皮膜を形成するという性質があることから酸化(腐食)に強く、同時に亜鉛と同様の犠牲防食アノード性によって、他に類を見ない耐食性を持った皮膜です。この性能によって、古くから自動車、船舶、航空機などの特に腐食しやすい部品に欠かせないものでした。 しかし近年、カドミウムの有毒性は環境規制の対象となり、一部の限定された用途に限られてきました。さらに、最近では全廃の動きもあり、カドミウムめっきの代替として、他の皮膜が使用されるようになりましたが、特に耐食性が必要とされる船舶、航空宇宙産業、軍需産業などの一部の部品においては、それらの皮膜では要求を満たせないため、やむを得ず現在もカドミウムめっきが使用されています。 以上の経緯から、「カドミウムめっきの性能を上回る皮膜」の開発を目標に、弊社の研究開発が始まりました。
今回、「プロトニクスシステム タフテクト」の耐食性を評価する最終試験として、カドミウムめっきとの耐食性能比較試験を行いましたので、その結果を報告いたします。
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・試験規格: JIS Z2371、JIS H8502 等
・試験方法:50℃に設定した試験槽に5%食塩水と0.027%塩化第二銅(二水和物)の混合液を噴霧する。
・試験材料:A2024BD
・試験皮膜:プロトニクスシステム タフテクト、カドミウムめっき
・試験時間:96時間
※試験後に純水にて洗浄済み
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プロトニクスシステム カドミウムめっき
タフテクト
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プロトニクスシステム カドミウムめっき
タフテクト
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プロトニクスシステム カドミウムめっき
タフテクト |
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結果 |
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・社内評価基準(※)において、 プロトニクスシステム タフテクト 評価 5
カドミウムめっき 評価 3
※表1参照
・カドミウムめっきにおいて、皮膜の割れは発生しませんでしたが、ピットコロージョン(点食)が数か所発生し、材料素地への腐食が確認されました。
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結論 |
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本評価試験において、カドミウムめっきとの比較で、「プロトニクスシステム タフテクト」が耐食性に優れている結果となりました。これは、耐食性に優れた皮膜が多層構造になっている事と、皮膜間での犠牲防食アノード性による相乗効果が、これまでにない高耐食性を実現したことによるものです。また、「プロトニクスシステム タフテクト」は環境規制に該当する有毒な金属を含んでおらず、環境規制に適合した皮膜です。
このように、「プロトニクスシステム タフテクト」は耐食性、環境適合性において、カドミウムめっきの代替皮膜として充分な性能を持つにいたりました。様々な環境下での実機試験の課題もありますが、お客様のニーズを追究し、さらなる性能向上に努めていきたいと考えております。
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