プロトニクス研究所 新規開発技術
2011年2月16日 水曜日

 


先日より紹介させて頂いております「プロトニクスシステム タフテクト」について、技術責任者の立場からコメントさせていただきます。


耐食性皮膜と呼ばれるものには過去、“腐食のメカニズム”を熟知した先人達が築いてこられた、最もベーシックな基礎技術の上に成り立っております。


亜鉛めっき、ずずめっき、クロムめっき、カドミウムめっき等がその代表的な例で、さらに下地めっきにも異種金属の積層、同種金属でありながら結晶組織の異なる皮膜の積層、等数々の手法が用いられておりました。


古き良き時代の装飾品などで、未だに経年劣化していない素晴らしい耐食性を誇る歴史的調度品も多数存在しているのがその証明でもあると考えます。


弊社においても、要求される特性に応じた最新技術をラインナップし、貢献させて頂いておりますが、先人達の経験、知恵、工夫から生み出された技術基盤を基に改良、試行錯誤を重ねてきた結果、今日があります。


同時に基盤となる技術が無ければこの世に存在しなかったであろうと考えさせられるのが、この「プロトニクスシステム タフテクト」の開発を通じて思うところです。


実はこの「プロトニクスシステム タフテクト」は先人達の築き上げた「古き良き基礎技術」と、その基礎技術に改良に改良を重ねた結果生み出された「全く新しい最新技術」とを融合させた、『二層構造』から成り立つ、まさに『温故知新』の発想から生まれた技術です。


基礎技術だけでは到底太刀打ちできなかった例や、最新技術だけでは対応できなかった例等をすべて加味して、お互いの欠点を補うだけではなく、それ以上の相乗効果を発揮できる技術として期待しています。


「気の遠くなるような」組み合わせから「仮説」を建て、延々と解析・分析・評価を繰り返し「実証」して、ようやく現在に至っております。


研究メンバーからは、「今のところ全て順調」という報告を受けています。


「製造」に移る前準備に心躍る思いの毎日です。


 

2011年2月9日 水曜日

 


この中性塩水噴霧試験は、金属材料の耐食性を評価する上で広く用いられる耐食試験です。「プロトニクスシステム タフテクト」を開発するにあたり、この耐食試験を幾度も行い、皮膜改良を繰り返しました。その結果、より過酷な評価試験に移行するにあたり4種類の皮膜に絞り込みました。今回は、その開発途中段階の中間報告になりますが、4種類の皮膜を中性塩水噴霧試験にて試験した記録を報告します。

 


・試験規格:JIS C60068-2-11、JIS Z2371、JIS H8502 等がある。


・試験方法:35℃に設定した試験槽に5%食塩水を噴霧する。(96時間)


・使用材料: A2017


・試験皮膜: タイプA~D(4種類)


・試験結果:


 

処理前 
  タイプA タイプB タイプC タイプD
96時間後
         

 


・結論

96時間経過後、どの皮膜も著しい腐食はなく、良好な結果となりました。次段階では、更に改良を加え、より過酷なCASS試験を繰り返し行いました。次回はCASS試験の結果について報告します。


 

2011年2月1日 火曜日



最も錆びにくい表面処理としては金めっき、カドミウムめっきなどがありますが、価格が高い、有害であるなどの理由から一般的ではありませんでした。


そんな中、数ある開発課題の中で、環境に適合した究極の耐食性皮膜の開発は、長年の大きな課題でありました。


そこで「プロトニクスシステム タフテクト」の開発にあたり、のべ3000時間にわたる臨床試験を繰り返し行ないました。


あらゆる腐食環境を擬似的に作り出し、それに使用した試験サンプルは数百枚に至りました。


具体的な試験方法として、塩水噴霧試験、CASS試験を用いました。


いずれもJIS規格で定められた試験であり、試験方法は厳密に定められています。


次回からは、その試験の内容と実際に試験を行なった記録を報告します。