社長の声
2011年2月1日 火曜日



ラリーモンテカルロは1900年初頭に始まった非常に格式の高い、歴史あるラリーとして知られています。


今年、このラリーのヒストリック部門に、東京大学草加教授を中心にした「学生チーム」が参戦しています。


草加先生は、私も個人的にすごく尊敬する先生で、特に「日本のものづくり」を真剣に考えておられ、「座学」よりも「行動」に基づいた「経験」を教育の根源とされていらっしゃいます。


お仕事の傍ら、世界的にも有名なラリーストとして数多くの入賞経験をお持ちです。


また、草加先生がF-1ウィリアムズチームに提案・提供された超高性能ファイナルギアによってウィリアムズが好成績を収めたのは有名な話です。


今回のプロジェクトは、東京大学と関東自動車大学校のジョイントプロジェクトであり、学生の授業の一環で行われているという、まさに画期的で過去例を見ない素晴らしい挑戦であると思います。


私も海外のクラシックカーラリーに参加した経験がありますが、まず車の整備に始まり、車の輸送、そして現地での調整、ラリー中のメカニカルトラブル、完走を目指す精神的負担等々、大変高いハードルをいくつも超えなければなりません。


私の場合は、メカに関してはプロのメカニックに全てをお任せし、輸送等に関しても一切をプロの手にゆだねましたので、現地での走行のみに集中していればよかったのですが、今回のプロジェクトはそれら全てを学生達が行うというまさにこれ以上無い「生きた授業」であると思います。


昨年10月から私自身も草加先生や学生達と交流してまいりましたが、一言で言うと「日本のものづくりはまだまだ行ける!」と強く確信した次第です。


近年、工学部の学生さえも、ものづくりを離れ、金融や証券、いわゆる「ホワイトカラー」に就職の人気が集中するという社会現象に、寂しい思いをしていました。


しかし、このプロジェクトに参加する学生は、誰もが目を輝かせ、オイルまみれになり、自らの手を汚し、ひとつの目標に向かって一心に自分のなすべき仕事を一生懸命こなしている。


本来であれば「お払い箱」となるはずのトヨタTE27を、すべて学生達の手でレストアし、愛情込めて作り上げ、「完走」という目標のために「犠牲心」を持って邁進してきた学生たちのことを思うと胸が熱くなる思いです。


こういう「生きた授業」を信念を持って進めてこられた草加先生には頭が下がる思いと共に、「国家の宝」である、「ものづくりに生きる!」という学生を育ててくださった感謝の気持ちで一杯です。


今頃はゴール間近のモナコ近辺を走っているものと思います。


先ほど現地より【304台中40位!】という素晴らしい報告が来ました。


総合順位よりも、「何者にも換えがたい素晴らしい体験」をした学生達に大きな拍手を送りたいと思っています。


 

2011年1月28日 金曜日

 


今の世の中に溢れ返っている「便利な道具」、パソコンや携帯電話がその代表ですが、もし壊れたら?


皆さんどうされていますか?


恐らく、販売店に丸投げして「悪い部品の総替え」、あるいは「機種交換」が主な対処方法になっていると思います。


「なぜ壊れたのか?」って考えてもわからないですよね?


原因のほとんどは電子回路のユニットの故障、すなわち部品点数何万個にも及ぶPCBごと交換するしかないからです。


開発思考や原因追及に最も大切なのは「仮説を建てる」ことです。


次に建てた仮説を「実証」してみること、そして実証した事象に「理論付け」することです。


(弊社の研究員は明けても暮れても、この地味な作業を延々と繰り返しています)


ところが、近年の便利な道具達は、ばらしてみても中身が見えません。


中身が見えないと興味が出ない。


だから若者の「ものづくり離れ」が始まっているのかもしれません。


「風が吹くと桶屋が儲かる」ではないですが「超先端技術に頼りすぎるとものづくりが衰退する」のかもしれませんね。


 

2011年1月22日 土曜日

 


私は基本的に「古いもの」が好きで、暇さえあれば古い時計をばらしたり、戦前に作られたバイクの修復作業に明け暮れたりしています。


ばらすたびに感じるのが「よくもまああれだけモノの無かった時代に先人は並大抵ではない創意工夫、試行錯誤の結果、この部品の形状にたどり着いたんだろうなあ」ということです。


今は全てが便利になって、クルマのボンネットの開け方すらわからない若者が増えています。


「開ける必要がないくらい壊れないから」がその原因なのでしょうが、せめて自分の大切な命を乗せて走る車の構造を知るべく、月に一度はボンネットを開けてみて欲しいものです。


とは言いつつ、今の車はボンネットを開けてもプラスチックのカバーだらけで内部の構造などは一切見えませんが・・・。